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荒れ狂っていた冬から春。
このところ何故か平穏無事なTAXI NIGHTが続いていた。
その理由の一つに、俺の待機場所(客待地区)が変わったからだ。
午後六時から乗務して、九時までの3時間ほどはスーパーの待機場所にいる。
それから深夜までは駅前周辺の繁華街にいた。
しかし、最近では駅前から朝日町飲み屋街に待機場を移していたのだ。
スーパー待機では、買い物帰りのお客さんがメインなので遠距離は殆ど望めない。
しかし、夕方のラッシュを避けるには丁度いいのである。
同じ時間に、いつもの奥さんが乗車するなんてのもよくある事だ。
◇真夜中AM:1:20分頃、並木地区の住宅街を空車で走っていた。
今日はこれで店仕舞いと、帰社しようとスピードを上げて西に向っていた。その時、植え込みの陰から何かが飛び出してきた。
慌ててブレーキを踏み込みながら、バックミラーで確認すると人影だった。最後の一発(仕事だよ)か!と思ったが、異様な衣装を纏っていたのである。
俺は、オバケは信じない性分だ。しかしながら、真夜中に白い姿態で現れたオンナだったから、バックするスピードも鈍くノロノロと蛇行した。
向うから小走りに来て、ドアを開けるのももどかしく勢いよく乗り込んできた。<走ってください!>その声と、見覚えのある容貌から直ぐに分かった。
いつもスーパーから乗る奥さんだったのだ。「どうしたんですか?」奥さんも俺に気付いた。<あら!大変なトコ見られてしまったわねェ〜。>
其れもその筈である。奥様は、裸足に下着姿だったのである。
時々、後ろを振り返っていた。暫く無言だったが、<旦那とケンカしたら、殴りかかってきたのよ。>
<自分は散々浮気してたくせに、私がちょっと出掛けたからって暴力振るうなんて我慢できないでしょ!>
俺は、国道4号線を南に向っていた。奥様の実家を知っていたからだ。30分近くで到着したが、ガガ〜ン!!
何と、メーターを忘れていたのだ!そして再び!! 今、お金もって無いので後日支払います!いいかしら!との事。
深夜料金で30分も走れば、5,000円ぐらいの稼ぎになる筈だったのに、トンだドジを踏んでしまったものである。
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