|
|||||||||||||||||||
|
![]()
|
||||||||||||||||||||
◇金子光治さん60歳。温泉リゾート会社の施設担当として、各地の山間の奥地を仕事場としている環境にある。子供の頃から岩魚釣をしていたと言う彼は、職漁師としての実績もあった。今でこそ趣味としての釣りだが、その昔の面影を追って源流に分け入った。 ◇吾妻山の中腹に、木通沢(アケビ沢)と言う地名がある。 この地区には、古くからの源泉吹き出しがあり信夫温泉をリニューアル中だった。 傍を流れているのは、生き物が生息しない須川が流れている。そこから、さほど離れていない場所に隠れ沢が存在した。小さな渓流なれど、温泉成分は微量らしい。 ◇林道から、人の足が踏み入れられていないようなブッシュの中を歩き続ける。 後ろから眺めていると、まるで仙人か猿の如くだった。音もさせずに歩く足には、長い地下足袋?腰には年期の入った竹籠(再放流なので格好だけ)。編み笠に蓑を着ている姿は昭和初期の職漁師だった。 |
|||||||||||||||||||||
◇使用している竿は、10尺ほどの布袋竹だ。切り取ってきたら、炭火で曲がりを修正しながら油ヌキを完璧にする。布で何度も油をふき取り艶を出していく。昔の糸は馬毛を縒り糸にして使用していたが、今では市販のテンカララインを使う。 ◇毛鉤は自慢の比内地鶏羽毛だ。 各地の温泉レストランでは、独自に育成している食材を売り物にしている。比内地鶏も自家育成だから、ロードアイランド系は最高の蓑毛になる筈だ。 ハリスは、1.5号をセットしていた。 その全長は約3m。藪の中では、提灯釣りスタイルにもなると言う。日本独自の毛鉤つりは、狭い渓流をイメージしてマッチングしているのだ。その手法は、一本の毛鉤でも浮かし釣り。ある時には白泡の流れに沈めたり、逆引きまでしてしまう恐ろしいほどの匠技だ。 |
|||||||||||||||||||||
◇毛鉤を流れ際に撃ち込んだ。毛鉤が着水して数秒後、下腹の黄色帯びた源流岩魚が宙を舞って引き抜かれた。何という早業なのか、あっけに囚われながらもどうにか被写体に納まった。 次の落ち込みからも、無造作に釣り上げる。 このテンカラ鈎には、返り(バーブ)が無い。だから、糸を緩める事はできないので、咥え込んだら素早く抜き上げてしまうのだそうだ。獲物を手にすると、水に手を差し入れて(温度降下)から、一秒も掛からずに再放流してしまう素早さは、まさに職業的神業。 ヤツラは、少ない水量の中で必死に生き抜いているのだと言う。他の裕福な渓流から比べると、硫黄成分で餌も少なめだ。 昭和50年代頃までは、数釣りもできたそうだ。 今では岩魚の顔を見るのが楽しみだと、ポツリと言った。遥かなる山の住人である岩魚。 いつまでも、その魚影を確認したいとも言っていた。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||